「餃子の王将」を展開する王将フードサービスが、創業家の知人やその関係企業と不適切な取引を繰り返し、計約209億円を流出させていたことが同社が設置した第三者委員会の調査で分かったことで、元社長射殺事件とからめ、その闇が再びクローズアップされてきました。
「王将フードサービス」の元社長・大東隆行さん(当時72)射殺事件をめぐり会社が設置した第三者委員会は、特定の人物A氏が関係する企業グループにこれまで約200億円の資金が流出し、170億円が回収されていないと発表しました。
調査によると、大東隆行・前社長が射殺される約1カ月前の13年11月、これらの不適切な取引に関する社内調査報告書をまとめていたが、内容を明らかにしていなかったようです。
事件を捜査する京都府警もこの問題の一部は把握しているが、事件との関連は不透明なままです。
きっかけは27年前、店舗の火災で死亡した遺族への補償交渉で、報告書によりますと、1989年王将の店舗で起きた火災で遺族との補償交渉を創業者の知人・A氏が担当し、この際に王将が1億円を支払っていました。
同社は知人や知人の関係企業計7社との間で、多額の貸し付けや不合理な不動産売買などを繰り返し、2006年までに相手側に総額約209億円が流出し、このうち約33億円分は回収したが、残る約176億円が回収されないままのようです。
このことで経営危機に陥った同社は、不適切取引で取得した不動産の売却、貸付金の債権放棄を進めて06年9月までに清算しています。
しかし、大東氏が社長に就任して立て直しを図り、13年の東証・大証統合で東証1部に移行することに成功しています。
【スポンサードリンク】
第三者委は、前社長の射殺事件を受けて反社会的勢力と同社との関係の有無を調べるために今年1月に設置され、29日に報告書をまとめていますが、「現時点における王将フードサービスと反社会的勢力との関係は確認されなかった」としている。
会見では、「なぜそういう状況にかかわらず関係が切れないかというと、トップダウンで言われたときそれ以外を考えない企業文化があったのか…」と、煮え切らない。
29日記者会見した渡辺直人社長は知人について「反社会的勢力との認識はない」と強調。
不適切取引について「同じようなことを二度と繰り返してはいけない」とした。
第三者委の報告書を受け、日本取引所自主規制法人は必要に応じて、反社会的勢力との関わりの有無や、過去の決算で有価証券報告書の虚偽記載に当たる事実がなかったかなどを改めて調査する方針で、今後、さらに新たな事実が判明し、一連の事件が一つながりとなって、表面化する可能性があり注目です。