2015年度の乗用車市場動向調査によると、車を保有していない10~20代の社会人のうち購入の意向がない層が59%で、さらに、車に関心が無いと回答したのが、なんと、69%に達するという。
購入意思であれば、経済的な理由が一番になるかと思うが、関心が無いと言われると、これは完全なオワコンと言える。
7割が、車が買えないではなく、車に興味が無いというのだ。
確かに、最近、周りでも車の話題を聞くことがぐっと少なくなった。
「車何乗ってんの?」というのが、挨拶代わりだった時代もあったのだが。
車を買わない理由としては、「買わなくても生活できる」のほか、「駐車場代などお金がかかる」「お金はクルマ以外に使いたい」など、確かに、経済的な理由が来ることが多かったようだが、興味の無いの裏返しとしては、興味を持っても実現しないものは、興味を持たないようにしているという可能性もある。
しかし、一時的であれば、本来の欲求が元に戻り、自動車の購入意欲というものも出てくる可能性があるが、興味を持たないようにしている期間が長くなればなるほど、本当に欲求から消えてしまう恐れがあります。
それだけ、世の中には、それ以外の欲求を刺激するものが増えてきています。
クーラーと、カラーテレビは日常になりました。
車も日常としての地位がありました。
しかし、車の一番の消費落ち込みの要因は、その維持費にある気がします。
クーラーも、カラーテレビも、なければ無いで、生活することはできますが、一旦設置すれば、維持費は、電気代や受信料など、数千円の単位です。
しかし、自動車になると、車検、税金、駐車場、ガソリン代等々、高額な維持費が必要となりります。
そんな金があるなら、貯蓄したいという、今の若者の切実な経済状態もあるかもしれません。
そこまで切実でなくても、限られた経済力の中から、必要な物を厳選して利用するという状況もあります。
例えば、サッカーファンの若者なら、車の維持費より、欧州サッカーチャネルの有料放送を契約するほうにお金を使うでしょう。
サッカー観戦も、電車とバスで行くと思います。
では、経済的に余裕のある若者であれば、車は売れるでしょうか。
経済的に余裕がある若者ということになると、経済の知識があることになります。
その場合、車に対しての投資価値があるかの判断になると思います。
ステータスとして、自分の経済活動の役に立つと判断すれば、車を購入するでしょう。
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では、交通機関の利便性が低い土地柄では、どうでしょう。
移動手段として車は欠かせない存在となりますが、そこでは、あくまで、移動手段としての車になります。
しかし、若者が、あえて交通手段の少ない土地にじっとしているかということを考えると、そもそも、若者は、都市に出る欲求を持っていますので、一旦都市に出れば、車の必要性がぐっと減ります。
これが、今回の調査の、若者の車に対する興味の低さにあらわれていると思います。
高齢者の交通事故が増え、ニュースとなっています。
地方に住む、高齢者には、重要な足としての自家用車ですが、年々、免許取得や更新のハードルが高くなっています。
免許返上などの制度を利用する人も増えているようです。
バスの運転手が足りなくなるほど、バス需要は増えていますが、60年代、70年代に言われたモータリゼーションの未来の姿を、今、見直し、新しい未来の交通の設計図を引き直す必要があるのではないでしょうか。